創立100周年記念事業
プロジェクトのご紹介

学生参画型イベント

スクールソング等
プロジェクト

100年の歴史と、未来を想いながら、
一緒につくろう。一緒に歌おう。
垣根を越えた共創のスタイルで
新しいスクールソングを制作したり、
親しまれてきた曲を再録して、
記念に残すプロジェクトです。

■中西崇文先生/データサイエンス学部データサイエンス学科准教授。専門分野はデータマイニング、感性情報処理など。本プロジェクトではAI活用ワークショップ運営を担当。 ■鈴木真理先生/教育学部幼児教育学科非常勤講師。音楽教育指導を担当。舞台やミュージカルの音楽など、多方面で作曲・編曲活動も行っている。本プロジェクトでは作曲ワークショップ運営とスクールソングの仕上げを担当。

集めたみんなのエッセンス。
中西先生&鈴木先生対談

「人間の進化に立ち会っているような感覚。大きな可能性を感じました」(鈴木)

— 有明キャンパスでのAI活用ワークショップを運営された中西崇文先生と、武蔵野キャンパスでの作曲ワークショップを運営された鈴木真理先生に、ここまでの活動の振り返りと展望をお話しいただきたいと思います。まずはワークショップを終えての手応えをお聞かせください。

中西:

参加してくれた学生の皆さんに本当にお礼を伝えたいです。AI活用ワークショップでは、AIが出してくる歌のアイデアに、学生たちがディスカッションしながらよりよくしようと手を加えていく姿が印象的でした。やっぱり人間の感性って、そういうところで発揮されていくのだなあと。

鈴木:

とても共感します。AIに丸投げではなく、人間って何か表現したい欲求があるんですよね。AIが手伝ってくれるとしても、人間がクリエイションしなくなるわけではない。つくるプロセスを楽しんだり、つくる過程で得たものを大事にする生き物。その上で、AIと協働するという経験に大きな可能性を感じます。人類の進化の瞬間に立ち会っている感覚がありますね。

中西:

そうなんです。AIが50点まで持っていってくれたものを、70点にできるのか100点にできるのかが問われる。こういうAIとの協働作業を、100周年の節目でできたことに大きな意味があると思います。作曲ワークショップではいかがでしたか。

鈴木:

参加してくれた学生たちがふだん聴いている音楽のエッセンスが入ってきて、とても面白かったです。まずは歌詞を口ずさんで、言葉から音楽を引き出してもらえるようにしたところ、譜面が書けなくても、しっかり曲らしい曲ができていきました。学生たちは耳が良くて、感覚的に音楽を理解していることがわかりました。

中西:

中高生の歌詞、AIのアイデア、学生たちの曲と、みんなのエッセンスが含まれて一つの曲になっていくというのは、今の時代を感じます。昔だったら、一人の作曲家がつくるという世界だったでしょうから。

鈴木:

生徒や学生に主体的に関わってもらうことは、このプロジェクトが大事にしてきたことでしたね。

「いろいろなアレンジが多方面から出てきてもおもしろいですね」(中西)

そもそも音楽にはどのような力があると先生方はお考えでしょうか。そして今回のスクールソングがどんなふうに活用されるイメージをお持ちでしょうか。

鈴木:

幼児教育の領域でも、障害児教育や高齢者福祉の分野でも、音楽が子どもたちやお年寄りにいい影響をもたらすという研究があります。メカニズムはまだはっきり解明されていませんが、音楽には、普通の言語とは違う、脳の別のところに働きかける何かがある。うまく活用することで人類のウェルビーイングに繋げていくことができるのではないでしょうか。

中西:

その通りですね。まさにそれは私の研究テーマです。この音楽は好きだと人が感じるのはなぜかをデータから解明することで、音楽をより有効に活用することができると思っています。今回のプロジェクトで感じるのは、音楽のメタ的な要素です。幼児教育とデータサイエンスの教員がこうしてつながることも音楽のおかげです。

鈴木:

本当ですね。参加した学生も学部学科の垣根を越えていろいろな価値観を持ち寄ることで新しい景色が広がったのではないでしょうか。これが100年に一回ではもったいない、時々、学科の垣根を越えて協働する取り組みをしたいという声もありました。今回のスクールソングは身近な歌になるといいなと思っています。式典のような特別な場所だけでなく、クラブ活動で演奏したり、ワンフレーズがお昼休みや夕方に流れたり。日常のなかで気軽に口ずさめたり、生徒や学生の背中をちょっと押せるような応援歌になればと。

中西:

いいですね。いろいろなアレンジが多方面から出てきてもおもしろいですよね。テンポを上げてダンスをしてもいいかもしれない。もとの曲が素材として活用されながら自然に広がっていって、あれは100周年のスクールソングだったんだと後で気づくくらいでもいいのかもしれません。

鈴木:

これからたくさんのアイデアをもとに、プロジェクトチームの方たちと相談しながら私が曲にまとめていくわけですが、「この歌詞は自分が書いたものかも」「この音の並びは自分たちがつくったものかも」と、愛着を感じてもらえたら嬉しいです。

中西:

そうですね。参加してくれた生徒、学生、手伝ってくれた皆さん、こういう機会をつくってくださったプロジェクトの関係者にあらためてお礼を申し上げます。