創立100周年記念事業
プロジェクトのご紹介

学生参加型イベント

学生・生徒がつくるコンテンツ 卒業生を訪ねる
プロジェクト

私たちの武蔵野大学はどんなふうに
歴史を刻み、成長してきたのだろう。
社会で活躍する卒業生を、
在学生、在校生が
訪ねました。
(このコンテンツは学生、生徒が
取材から執筆までを行っています)

湯浅 莉萌(武蔵野大学中学校3年緑組)、嶋崎 和奏(武蔵野大学中学校3年白組)、草間 淳汰(武蔵野大学高等学校1年菫組)、東海林 佳歩(武蔵野大学高等学校1年菫組)、山田 響(武蔵野大学高等学校1年菫組)

すべての出会いを大切にして、
自分たちの花を咲かせます
今回、話してくださった先輩
1999年度高等学校卒業生
(当時・武蔵野女子学院)
2003年度大学卒業生(当時・武蔵野女子大学)
絵手紙作家
山路 智恵さん
プロフィール
1981年生まれ。武蔵野女子大学人間関係学部人間関係学科を卒業後、絵手紙作家に。小学生時代には日本絵手紙協会設立者である小池 邦夫氏に絵手紙を連続2000日投函。1993年に「小川未明文学賞特別賞」を受賞。2007年長野県栄村に「山路智恵絵手紙美術館」がオープン。2016年から東京の名所など100箇所を畳大の和紙にかく企画『東京百景』に取り組む。絵手紙親善大使として海外などで個展をはじめ、日本各地で展覧会を開催。著書に『いい春しょって2000日』、『一片の詩にほほよせて』など多数。

絵と言葉に気持ちをのせて、
その瞬間の出会いを大切にかいています。



 絵手紙とは、絵のある手紙を送ること。かくときは、一発勝負。かき始めたら最後まで仕上げます。私は自然のものや人物、お祭りなど、自分の目で見て感動したものをかいており、大きさはハガキサイズから畳大のものまで様々です。これまで上野の桜をかいたり、川越の五百羅漢という石像を540体かいたり、最近では東京の魅力を世界の人たちに知ってもらうという目的のもと、畳2枚以上の大きさの和紙に100点を4年がかりでかく、「東京百景」という取り組みも行ったりしました。

 

 家の中だけでなく外でかくこともあります。できる限り写真に撮って後でかくのではなく、その場所にシートを敷いてかくことで、いつも以上に、そのものを真剣に見たり、その場の空気を感じたりすることができます。上野の桜をかいたときは、花が咲く前から通って朝から場所取りをして、何日もかけてかきました。外でかいていると人が集まってくることもあります。中国のある町街でかいていたときには、水入れの水を換えるのを手伝ってくれた人や、寝転がりながらずっと見ていた小さい子どももいました。

 
 絵を見ると、そのときの記憶が蘇ってくるので、絵手紙には様々な出会いが詰まっていると感じます。伝えたい気持ちを込めてかくこと、その瞬間にしかない出会いを大切にかくことを私はいつも大切にしています。この絵手紙の魅力をもっと知っていただくために、かいたものを美術館に展示したり、絵手紙の楽しさを伝える講習会を開いたりもしています。




高校時代は美術部でした。
思い出が詰まった武蔵野キャンパス。



 絵手紙をかき始めたのは、小学校の入学式の日から。母との思い出づくりとして始めたものでしたが、飽きずに続けることができ、小学校6年間の中で、2000日連続してかくことができました。自分の気持ちが嬉しいときには、かく対象も笑っているように見えたり、悲しいときは涙しているように見えたりするんです。自分の気持ちによって、同じものを見ても全く同じように見えることはなく、逆に新たな見方を発見できました。


 私は高校から武蔵野女子学院に通っていました。高校時代は美術部でした。顧問は鈴木慎一先生。放課後にみんなで集まって絵をかいていたことを今でも思い出します。他にも、高校一年生のときの合宿で足を捻挫してしまったときに背負ってくれた優しい友だちがいたことや、毎朝、朝拝があったことを懐かしく思い出します。


 武蔵野大学に進学してからは、人間関係学部で学びました。他学部履修で日本語教員養成課程を受けており、日本語学校で学ぶ海外の方に、母国の家族に絵手紙をかいて送ってもらったりしました。華道部にも入り、休み時間や授業の空いている時間にお花を生けたり、大学祭で展示したりしたことをよく覚えています。今は共学になってキャンパスの雰囲気はだいぶ変わっていますが、銀杏並木などは変わらず、自然がすごく豊かなので、武蔵野大学のキャンパスに来ると、春夏秋冬を全身に浴びながら生活できていたことを思い出します。


人それぞれに花あり。
それぞれが持つ素晴らしさの響き合い。



 私は、「人それぞれに花あり」と言う言葉がすごく好きです。人は、それぞれがもつ良さや素晴らしさが花開いたときに、響き合うのではないかと思います。しかし、その花は、そのときすぐに咲かないこともあります。


 だからこそ皆さんには、さまざまな物事に向き合い、種をまいて欲しい。種は後から何かのきっかけになったりするかもしれないので、その時にしかない「出会い」を大切にしてほしいと思います。学校で学ぶ時代というのは、本当にその時にしかない瞬間だと思うので、後輩の皆さんには、その時その時をぜひ大切に過ごしてほしいと思います。


 私は武蔵野女子学院の同窓会である「くれない会」や大学同窓会の「むらさき会」での交流も続けています。学校法人武蔵野大学が100周年を迎えるということですが、今までの歴史にプラスして、私たちのつながりがもっと続いて、これから100年、200年、続いていく未来がすごく楽しみです。

Musashino Memories
他の教室にはない独特の雰囲気。
今もたくさんの作品がつくり出される場所。

山路さんが高校時代に美術部の活動で使っていた美術室は、今も美術の授業や美術部の活動で使われています。本校には、校舎5階に美術室、校舎から少し離れたところに工芸室があり、使用する学年や創る作品によって使う部屋が異なります。たとえば、美術室は絵画や版画などの平面作品をつくるとき、工芸室は陶芸などの立体作品をつくるときに使用します。山路さんが使われていた部屋と同じ部屋で、今も個性豊かな多くの作品が生み出されているのだと考えると、とても感慨深いです。美術室には、他の教室にはない独特の雰囲気があります。これからもこの部屋で、その瞬間にしかつくれない多くの作品が生み出されていくことと思います。

「取材・原稿制作を終えて」
「続けることの大事さを、
あらためて考えることができました」

私は、このインタビューを通して、感謝する気持ちをもっと大切にしようと思いました。山路さんは、インタビューの中で「感謝」という言葉を一番多くおっしゃっていたように感じました。絵手紙を描けていることに感謝。今の環境に感謝。そうおっしゃっていました。私も、自分一人で生きていくのではなく、周りの人の協力があって生かされているのだということを忘れずに、これからの人生を送っていこうと思います。

(武蔵野大学中学校3年 嶋崎)

私は山路さんのお話を聞き、「続ける」ことの意義を改めて考えてみました。続けるとは、ただひたすらに物事を繰り返すのではなく、山路さんのお話にもあったように「楽しむ」ことが大切なのだと思いました。学生の今、勉強、部活動や趣味など続けたいことは沢山あります。自分が何をしたいのかを考えることも必要ですが、今しかできないことを全力で楽しんでみると、それが「続ける」ということに繋がるのかなと思いました。

(武蔵野大学高等学校1年 東海林)

私は山路さんの取材を通して「人それぞれに花あり」という言葉がとても印象的でした。よく考えてみると学生生活の中でその時その時の時間は人生の中でその時にしかないのだと気付かされました。武蔵野大学だけでなく自分の人生もこれから先、ずっと続いていくと思うので、出会いを大切にして、感性を豊かに小さなことにも感動できるようになりたいと思いました。

(武蔵野大学高等学校1年 山田)

取材日:2023年2月 所属・肩書等は取材当時のものになります