創立100周年記念事業
プロジェクトのご紹介

学生参加型イベント

学生・生徒がつくるコンテンツ 卒業生を訪ねる
プロジェクト

私たちの武蔵野大学はどんなふうに
歴史を刻み、成長してきたのだろう。
社会で活躍する卒業生を、
在学生、在校生が
訪ねました。
(このコンテンツは学生、生徒が
取材から執筆までを行っています)

武蔵野大学ならではの学外学修科目「フィールド・スタディーズ(FS)」。その一つであるコピーライティングプログラムは、言葉の力でさまざまな課題解決に挑戦中。近年は、摩耶祭のCM制作や100周年事業の広報など、活動の幅を広げています。

発展FS「コピーライティング
プログラム」新旧座談会
[ 座談会参加者]
1期生と7期生。変わったこと、受け継がれたこと、発展FSでのやりがいをじっくり語りました。
【1期生】
小島 加帆(株式会社ブラビス・インターナショナル
コンサルタント、2018 年度人間科学科卒業生)
川端 成宜(株式会社SEVEN コピーライター、
2018 年度政治学科卒業生)
【7期生】
土屋 好(経営学部経営学科4年)
土浦 由貴(経営学部経営学科4年)

「最初の頃は、私たちも先生も手探りでした」

—今はブランディングやクリエイティブの領域で、大手企業の商品コンセプト開発やネーミング、企業のウェブサイト・広告制作などで活躍されている卒業生の小島さん、川端さんですが、コピーライティングプログラム(当時: コピーライティングゼミ)の第1期生だったとのこと。まだ実績もなく先輩もいなかったと思うのですが、どうして選んだのですか。

小島(卒業生)
私はずっと文章を書くのが好きで、そういう仕事がしたいなあと思っていたときに、大学からの案内を見つけて説明会に行ったのを覚えています。
はっきりとはわからないまま、何か自分がやりたいことに近いと感じたのがきっかけです。私たちの頃は「サブメジャーゼミ」と呼ばれていたゼミの一つでした。

川端(卒業生)
正直、毎週やるということもわかっていないまま、説明会に行ったね。

小島(卒業生)
そうそう。「サブゼミとは何だろう」というところからだったよね。梅田先生も初めての学生との授業ということで、きっと緊張していて、どうしたらいいか手探りで、始まってからも最初はすごく静かだったよね。

川端(卒業生)
うん。広告のコピー案として、時には一人100案も書いた言葉を持ち寄って、みんなでああでもない、こうでもないと話しているうちに打ち解けたのかな。6限でお腹がすいてくるので、時々、お菓子を食べながら。

小島(卒業生)
おもしろいコピーを書いてくる人もいて、それで笑ったり、合宿を経験したりしながらだんだんと打ち解けたよね。1期生だったこともあって、先生が自分の実際の仕事を手伝わせてくれたり、先生の周りの人にインタビューさせてくれたり。単位をもらえるゼミだけど、活動が学外に広がっていくのが印象的でした。

川端(卒業生)
僕は、人に取材する面白さをどんどん感じるようになっていったかな。同じ武蔵野生によるカンボジアでのボランティア活動を紹介するプロジェクトストーリーを書いた頃から、自分では体験していないことを聞いて追体験できる取材の楽しさを感じたのを覚えています。

「実際に自分が書いたコピーが
届いたという実感がすごく嬉しくて」

小島(卒業生)
7期生はどんなことが印象に残っていますか。

土浦(在学生)
私は新潟県燕市への合宿です。地元の中小企業の若手後継者の方々に取材をして、これからの地場産業の向かう方向を言語化する活動をしました。それぞれ個性ある複数の会社を束ねられるスローガン、ステートメントを考えるプロセスがすごく難しかったです。

小島(卒業生)
うん。

土浦(在学生)
その活動で、私はステートメントやボディコピーの大切さに気づいたんです。コピーライティングと言うと、目を惹く短い言葉ばかり書く印象が強いですが、それに続くステートメントやボディコピーで、多くの人や会社の想いを汲み取ったり、大事なことをこぼさないように言葉にできる。

川端(卒業生)
ボディコピーの大事さって、コピーライティングを学んでいないとホント気づけないですよね。少し長めの文章で、伝えたいメッセージを心に沁みさせていく醍醐味がありますよね。

小島(卒業生)
土屋さんは印象的だったこと、何かありますか、

土屋(在学生)
僕も新潟の燕での合宿です。僕たちは地域の人や企業をたくさん取材して地域広報誌や映像をつくったんですが、それを見た地元企業の経営者の方が、僕が考えたコピーにとても感動してくださったんです。それまで課題としてコピーを書いていることが多かったんですが、実際に自分が書いたコピーが人の心に届いたという実感がすごく嬉しくて。強く印象に残っていますね。

川端(卒業生)
僕も合宿は燕でしたが、やっぱり取材した人のことを好きになりますよね。今も「メイドイン燕」と書いてあるものをすごく手に取ってしまう。やっぱり中の人の想いを知っている分、好きになっている。取材をたくさんやると、自分の心も豊かになっていくような気がしますね。

土浦(在学生):
それ、とてもわかります!

土屋(在学生)
目に見えている物事の背景を知る面白さもコピーライティングプログラムで学べたことかなと思います。

「僕らは“どうしたら伝わるんだろう”
ゼミかもしれない」

—1期生が活動していた頃は、東日本大震災から数年後の頃で、復興活動に関わる合宿もあったと聞きました。

小島(卒業生)
はい。私は宮城県の石巻市に合宿に行きました。仮設住宅に配布するコミュニティペーパーをつくる石巻復興きずな新聞舎さんにお世話になって、被災された人のお話を聞いて記事を書くお手伝いをさせていただきました。現地の取材では、それまで自身が経験したことのないお話や、中にはこちらも胸が苦しくなるような被災体験のお話もありました。本当に周りに大切な人がいることがあたりまえじゃないんだということをすごく実感して、毎日を大事に生きていかなきゃと、私の人生観を大きく変えた体験でした。

土浦(在学生)
取材したことを文章に書くときも、ふだん以上に言葉選びが難しそうですね。

小島(卒業生)
難しかったです、本当に。被災で失われそうになっているコミュニティに情報を伝えたり、心のつながりを育んだり、取材や記事づくりで誰かのためになれることもあるけれど、安易な考えや言葉づかいでは被災された方に寄り添うことはできない。それを学ばせていただきました。

川端(卒業生)
取材の対象になる方と、書かれた言葉や文章を読む人、どちらにも配慮した言葉づかいが必要だよね。僕たちのコピーライティングゼミは本当に「書く」に至るまでの、聞いたり、考えたりする過程の方をすごく丁寧にやるゼミだと思っていて。僕ら1期生は自分たちのスローガンをみんなで考えたとき、すごくたくさんの案を出した上で、「どうしたら伝わるんだろう」という言葉に決めたんです。今、こうして7期生と話していてもゼミの姿勢として大切に受け継がれている気がしていて。コピーライティングゼミとはいえ、僕らは“どうしたら伝わるんだろう”ゼミかもしれないなあと思います。

小島(卒業生)
今考えてもいいコピーだよね(笑)。梅田先生も「本当にコピーライターはこれをずっとやっているんだ」って言ってくれた記憶があります。

「“世界の幸せをカタチにする。” の
第一歩くらいならできてるんじゃないかな」

—7期生有志は創立100周年関連の広報活動の一部を担当させていただいて、「卒業生を訪ねる」コンテンツや、論文募集キャンペーンのSNS運営なども行いました。そのなかで武蔵野大学の“世界の幸せをカタチにする。”についても話しあったり考えたりすることもありましたね。
この大きなテーマについて、それぞれの考えを聞かせてください。

小島(卒業生)
私は学生の頃からクリエイティブな仕事をする人たちと関わるなかで、仕事も含めて人生を楽しんでいる大人がいることを知って、かっこいいなと思っていました。今、私も社会人になって、そういう大人になれているといいなあと思います。まずは一人ひとりが自分自身をちゃんと愛して、それを周りに広げていく大人が増えたら、それが世界の幸せにつながってたりするのかな。

川端(卒業生)
僕は、世界の幸せってお互いを認め合えることなのかなと思うんです。たとえば、世の中では人を傷つけるような言葉が簡単にいっぱい使われているじゃないですか。それってお互いを認め合えていない気がするんです。実は学生の頃から、人を傷つける言葉を世の中から失くしたいという想いが自分にはあって、それがコピーライティングゼミに入る理由でもあったんです。それを思い出しました。

土屋(在学生)
人はひとりずつ違うことは当たり前なので、その違う人同士が混ざり合うことをポジティブに捉えられる人が増えることが、幸せをカタチにすることにつながるのかなと思ってます。コピーライティングプログラムで違う学科のメンバーが混ざって、初めての土地に行って、自分とは違う世界の人の話をたくさん聞いて、自分はポジティブな影響を受けたので。

土浦(在学生)
コピーライティングプログラムで地域の課題解決をお手伝いすることをやってきたし、すごく素敵な文章を書いてくれてありがとうと企業の方から言われたときは嬉しかったし、私たちも「世界の幸せをカタチにする。」の第一歩ぐらいならできてるんじゃないかな。

小島(卒業生):
できてるといいよね、ちょっとずつ。私もクライアントや、その先にいる生活者の方々が喜んでくれるといいなあと、一つひとつの仕事をしています。

—100周年のスローガン「響き合って、未来へ。」については、皆さんのお仕事やゼミでの経験と何かつながることはありますか。

小島(卒業生):
「響き合って」という部分が、武蔵野大学らしいコピーだなと思ったなあ。高校までは地元にいたのもあって、狭いコミュニティだったんですよ。でも大学に入ると、出身地も違ったり、国も違ったり、ほんとにいろんな人に出会って、それがすごくいい経験になったな。

川端(卒業生):
確かにそうかもね。

小島(卒業生):
みんな違うからこそ、面白い未来に進んでいけるのかなっていうのがスローガンに込められてるんじゃないかな。

土浦(在学生):
私もコピーライティングプログラムのような創作活動でチームでつくることのすごさを知って、一人の力には制限があるけど、みんなでやるとほんとに力は無限大なんだということがわかりました。それが「響き合って、未来へ。」かなって私は思ってます。

川端(卒業生):
僕も武蔵野での友だちや先生との関わりの中で、自分の未来がいい方向に変化していったと感じています。ほんとにみんなで“響き合ってる大学”だなと思います。

土浦(在学生):
なんでもいいわけじゃなく、自分の中に譲れない何か、燃えたぎる何かはあって、その上でお互いを尊重できたときに、さらにいいものができるというのが経験としてあります。

土屋(在学生):
学生同士の距離感が素敵だなと思って、それぞれやりたいこと、好きなことはあるんですけど、無理に他の人を引きこまない。やりたいことは全てやりきったうえで、そういう大学やゼミの雰囲気は今後も続いていってほしいですね。

小島(卒業生):
かけがえのない時間だったので、大学生の時間を大事に学んでいってほしいなって思います。コピーライティングゼミもやりたいね、また。

川端(卒業生):
ほんとにまたやりたい。1期生だけじゃなく、みんなでね。10周年で何かやれたらいいよね。

小島(卒業生):
そうだね、一緒にやろっか。

Musashino Memories
自分の世界を広げる。思わぬ発見を見つけられる。
フィールド・スタディーズ(FS)

武蔵野大学には「フィールド・スタディーズ」という独自の授業形態があり、「FS」と呼ばれています。大学の外に飛び出して、地方や世界が直面する課題
に気づき、解決していく力を養うもので、普段の授業では関わることができない各地の企業や自治体の方々、他学部の学生と協力しながら、プログラムごと
の専門分野を学びます。1年次には主体的な学びの姿勢を身につける「基礎FS」を全員が経験し、2年次からは希望者が「発展FS」でさらに深く広い学修
を行います。コピーライティングプログラムは発展FSプログラムの一つです。広告やブランドの言葉について自分たちで考えたり、多くの取材を行って、
対象者の魅力を引き出して発信するといった活動をします。FSをきっかけとして将来の夢を見つけて志す学生や、FSでお世話になった地域の方々に、また
会いに行くという学生も少なくありません。

「取材・原稿制作を終えて」
「このFSで多くのものを得たことを実感できました。自分たちの歴史を感じる対談でした」

我々「卒業生を訪ねる」取材・編集班も、コピーライティングプログラムの活動に7期生として関わっていたので、1期生との対談が実現したことを嬉しく思います。活動中は自分たちのことで手一杯でしたが、1期生の話を聞くと歴史を感じ、感慨深いような、またやりたいような、そんな気持ちです。ここまで作り上げてくださった梅田大輔先生や歴代メンバー、支えていただいた大学の職員さんや受け入れ先のみなさんに感謝です。

文学部日本文学文化学科4年 星野 烈

1期生と7期生。活動した時期は何年も違うのに、どこか地続きの体験をしている不思議。終始和やかな雰囲気で対談が行われ、この記事に収まりきらないほど充実した対談でした。1期生の活動を聞き、自分の活動を伝えることで、コピーライティングプログラムの魅力、自分たちが活動を通して培ったものを再認識することが出来たように思います。

経営学部経営学科4年 土屋 好

まさか1期生の方々とお話する機会がくるとは思ってもみませんでした。最初は何の気なしに参加したコピーライティングプログラムを通して、学部学科の違う仲間たちや、本来であれば教鞭をとることのない講師の梅田大輔先生、そして自分たちよりも5つほども年の離れた1期生の方と、このプログラムを通じて多くの人たちを知り、学ぶことができて本当に良い体験をさせてもらっているなと実感する機会でした。

工学部数理工学科4年 齊藤 奨

武蔵野大学100周年という節目の年に、1期生と7期生で対談を行えたことを本当に嬉しく思います。コピーライティングプログラムでは、コピーの奥深さや面白さだけでなく、チームとしての個々が成長する貴重な経験が得られました。武蔵野大学の「響き合って、未来へ」は、先生方、卒業生、在学生、地域の方々、みんながまさにチームとして響き合って明るい未来へ進んでいくことだと思います。その一役が私たちにも担えていたらなと改めて感じました。

工学部環境システム学科4年 高畑 朋果

100周年おめでとうございます。1期生として座談会に同席することができて嬉しく思います。社会人として働いている今の自分から当時の活動を振り返ると、普通の大学生活ではありえないくらい、本当に貴重な経験をさせていただいたと思います。武蔵野大学とコピーゼミの益々の発展を楽しみにしています!

2018 年度卒業生 総合卸・商社勤務 高橋 碧

取材日:2024年8月 所属・肩書等は取材当時のものになります。