声優・舞台女優
自分の声と表現力でキャラクターに
命を吹き込む。
声優とは、アニメーションや洋画などの登場人物に声を充て、そのキャラクターが本当にそこで生きているかのように、命を吹き込むお仕事です。
声を収録するアフレコを行うときは、スタジオに監督さんやスタッフさんがたくさんいらっしゃいます。中でも一番話すのは、私たち声優に、どういう芝居をすればいいのかを指示してくれる音響監督です。たとえば「嬉しい」という感情を表現するにも、いろんな種類があって、音響監督からは「お腹が空いていてやっとご飯を食べられたときの嬉しい感じで」といったような細かい指示もあります。それをいかに早く理解して、自分の声で表現できるかが、声優に必要なスキルです。監督をはじめとするスタッフさんとのコミュニケーションが本当に大事だと感じます。
私が一番大切にしていることは、ストーリー、そして文脈を理解することです。前後のストーリーを知らないまま、自分の担当する役のセリフだけを言っても、とんちんかんなセリフになってしまいます。前後の話の流れを理解して、私の役はこういうストーリーの中で、今、このセリフを言うんだとわかっておくこと。それが、自分がちゃんとその役の中の人として生きていくことになると考えています。台本をもらって、アフレコの当日までの練習時には、全部の役の声を自分一人でアフレコすることで、流れを理解するようにしています。
新しく変わりながらも、心が落ち着く。
千代田の雰囲気は変わっていない。
千代田女学園に通うことにしたのは、千代田出身の親戚からの勧めがきっかけだったと記憶しています。入学当時は恥ずかしがり屋な面もありながら、一人ひとりを認めてくれる校風のおかげで、目立ちたがり屋な性格が少しずつ出てきたように思います。国語の授業の延長で、「夕鶴」というお話を舞台で朗読する機会があったときに、「やりまーす!」と手を挙げて、やらせてもらったことを覚えています。ミュージカル部にも入っていて、舞台や朗読には積極的に参加するようになっていきました。
当時の千代田は、先輩や後輩もみんなお互いに知っているような、アットホームな学校だったことを覚えています。中学から6年間ずっと一緒に過ごしてきた友だちとは、今でも仲良くしています。特に印象的だった先生は、西谷寿泰先生です。移動教室のバスの中では先生もカラオケを歌ってくださって、クラス全員で楽しくバスの時間を過ごしたことを覚えています。イベントのときは私たちと一緒になって楽しんでくれる先生が多かったです。
当時は女子高だったので、今、こうして男子生徒がいたり、制服や校舎が現代的に変わっていることには、とても新鮮さを感じます。そうした中でも変わっていないと感じたのは、仏教がベースにあって、ホッと心が落ち着く雰囲気です。教えがずっと続いていることを感じて安心しました。
あの日、あの場所で収録した
私の声が世界中の人へ届いている。
以前、ある海外のフェスに出演したときには、私が演じている役のファンの方がたくさん来てくれました。その時、東京の小さなブースで収録した私の声が世界中の人に届いていることに不思議な感覚を覚えました。人の幸せをカタチにすることに自分が関わることができているんだなあと、声優の仕事に誇りを持てる瞬間でした。
テクノロジーは今後も発展して、AIがより滑らかに喋る時代が来ると思いますが、感情や息遣い、人の心をキャラクターに乗せることは、AIにはできないと思います。声優業はこれからも進化していくし、これからも廃れないものだと思っています。
声優という職業は姿が見えないので、歳を重ねても、作品が続いている限り、役を続けられるのがメリット。すごい大先輩がたくさんいらっしゃいます。私もおばあちゃんになっても続けられるような役に出会えたらいいなあと思っています。また、続けられる限り声優を続けていきたいので、自分の演じている作品が、長い間、みんなに愛される作品になってほしいと思います。私自身、いくつになっても変わらない声でいたいと思います。
これからも千代田は、生徒のみんなが未来に向かって真っ直ぐ巣立っていける環境であってほしいです。教室や先生たちの雰囲気には、それが続いていると感じます。そして、この学校の良いところは、思いやりのある人が多いこと。一人だけで突き進むのではなくて、相手を想って、みんなで進んでいく千代田らしさを大事にしてください。
千代田でしか見れない学園祭
三森さんが高校時代の思い出として語ってくれたのが、学園祭です。友人たちとアイスクリーム屋さんを開いて、クマのぬいぐるみを着て、中庭でたくさん販売したことを話してくださいました。今も千代田の文化祭は10月に開催され、生徒たちの様々な企画で盛り上がっています。コロナでできなかった食べ物の出し物も2023年からできるようになり、2年生は食べ物を中心としたアメリカンカフェやIBカフェ、1年生はキッキングスナイパーや、縁日などの千代田生らしいユニークな出し物を考案、実施しました。
一面を知り、視野が広がりました!」
社会で活動している卒業生の方に会って話すことができて、新しい視野や見解を広げることができてよかったです。三森さんが生徒だった頃の学校の話も聞くことができて、今いる学校とは印象が違って驚きがたくさんありました。「まだまだできることがたくさんあるから、いろいろなことをやってみたい」と話されているのを聞いて、自分もやりたいことは諦めずに頑張っていこうと思いました。
私は今回のインタビューで三森さんの仕事に対する真摯な姿勢を知り、将来、自分がどんな仕事につきたいかを考えるきっかけになりました。また、楽しみながら、誇りを持って仕事をしていることがうかがえ、三森さんのような大人になりたいと思いました。また、本校の生徒に受け継がれていることや三森さんの思い出の話を聞くことができ、この学校は長い歴史を持っていることを実感しました。
三森さんが「目指していきたいのはいくつになっても変わらない声でいること」とおっしゃっていて、目標を立てて努力なさっている姿がとても素敵だと思いました。10年後にはAIになっていると言われる職業が多い中、常にベストな状態でキャラクターに向かう姿勢がとても印象的でした。声優はキャラクターに命を吹き込む仕事です。ひとつひとつの息遣いや間に様々な感情を感じますが、三森さんたち声優の方の普段からの努力がそうさせるんだと思いました。
取材日:2023年9月 所属・肩書等は取材当時のものになります。